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column 院長から「歯と全身疾患について」

歯周病のはなし

歯周病にご用心!

健康な歯肉は淡いピンク色で、ひきしまっています。
あなたの歯肉はどうですか?

近頃、よく耳にする歯周病。大人の5人に4人は歯周病を持っていると言われていますが、気付いていない人がほとんどです。歯周病はサイ レントディジーズ(静かなる病気)と呼ばれ、むし歯のように痛むことがあまりありません。歯ぐきが腫れて赤くなったり、血が出てきたりすることがあります が、痛むことがあまりないので発見が遅くなってしまいがちです。そのため、歯が抜けてしまってから病気の重大さに気づくことも少なくありません。

もし歯周病になっていても初期の段階ならば、ブラッシングで治すことができます。発見が早ければ治療もしやすい病気なのです。ほとんどの人が気づいていな い歯周病。もし不安に思ったら、必ず歯科医に見てもらいましょう。むし歯が1本もないと安心していても、歯周病にかかっているかもしれないのです。

 

歯周病のチェックポイント

  • 歯肉が赤く腫れている
  • 歯肉から血が出る事がある
    健康な歯肉なら歯ブラシを少しくらい強く磨いても血は出たりしません
    時々、血が出る歯肉も健康とはいえません
  • いつも口臭がある
  • 歯と歯の間に隙間ができている
  • 歯肉が退縮して歯が長く見える
  • 歯がグラグラする 1本でも、グラグラしてきたら要注意
  • 歯肉がどことなく痛んだり、かゆい

さぁ、あなたの歯肉はどうでしたか? 1つでもあてはまることがあればすぐに相談しましょう。又、どこにも異常がなくても、年に一度か二度、定期検診を受ける習慣をつけましょう。 自分ではわかりにくい歯肉の状態を確かめてもらい、歯周病の早期発見と予防に努めることが大切です。

歯周病の予防と治療 一生、自分の歯で噛むために

歯周病は予防することができます!

歯周病は知らないうちに歯を失う原因になります。
が、予防することはできます。
また、すでに歯周病になっていても、早期なら治療で治ります。

歯周病の予防と治療にとって最も大切なことは次のことです。

1.歯と歯ぐきを自分でチェック

歯ぐきの色が悪くなってきた。歯が細長く見えてきた。 歯茎から血が出る。口臭がある・・・
などの症状が現れてきたら歯周病が考えられます。
すぐに診察をうけましょう。

2.マッサージをしましょう

歯ブラシや指先で歯肉をマッサージすると、歯周病に効果があるといわれています。

3.健康に気をつけましょう

お口の中は全身の健康状態をうつします。
歯肉が赤く腫れたり、浮いたような時は、疲れて体の抵抗力が弱まっています。
心と体の疲れをとり、規則正しい生活を心がけましょう。

4.バランスのとれた食事とビタミンCを取りましょう

栄養のバランスのよい食事は、体だけでなく口の健康にも大切です。
とりわけ歯周病にはビタミンCが効果的です。
ビタミンCを多く含む、新鮮な野菜や果物を充分にとりましょう。

5.うがいをしましょう

もし歯磨きができない場合は、よくうがいをして汚れを洗い出しましょう。

6.年に1度か2度、定期検診を

自分では気づきにくい歯肉の状態や歯石有無のチェックをしてもらいましょう。

虫歯のはなし

どうして虫歯はできるの?

どうして虫歯はできるの?

虫歯は細菌感染です。

虫歯の原因は何だと思いますか?
甘い物を食べたり、歯を磨かないと虫歯ができると思いますか?
たしかに、無菌の状態で育てている動物は、いくら砂糖を与えても、虫歯にはなりません。
ところが、その虫歯にならない動物にもある種の細菌を与えると、虫歯ができてしまいます。 虫歯は細菌感染ということなのです。

虫歯はこうしてできる

1.歯の表面にネバネバした膜ができる

お口の中は湿り気があって温かいので、いつも虫歯菌であるミュータンス連鎖球菌が快適に暮らしています。
この細菌は砂糖や食べ物の糖質が大好きで、これを材料に歯の表面にネバネバした物質(不溶性グルカン)をつくります。

2.ネバネバした膜が虫歯をよせ集める

不溶性グルカンは水に溶けにくいので、 口をすすぐくらいでは流されません。
そして口の中の細菌や食べカスを次から次へ呼び寄せ、プラーク(歯垢)という細菌の塊をつくります。

3.プラークに住む細菌がドンドン増殖

プラークに住むミュータンス菌などが糖質をエサに、次々さまざまな酸をつくります。

4.エナメル質を乳酸が溶かす

歯の表面のエナメル質は、とても堅いのですが、酸には弱く、簡単に溶けてしまいます。
このエナメル質の溶解が虫歯のはじまりです。

虫歯には予防が一番!食事の3分以内に歯を磨きましょう!

痛いだけではすまない、虫歯の怖さ

虫歯を放っておくと・・・

虫歯を治療しないでそのままにしておくと、痛くなって抜けてしまうだけでなく、「病巣感染」といって、 虫歯の細菌による感染症が全身に影響する場合があります。
化膿がすすむとアゴの骨を破壊したり、心臓、腎臓や目の病気を引き起こしたり、その細菌が血液に混じって 体中にまわると、敗血症等になる場合もあります。
また歯が悪いと充分に噛むことができないため胃腸に負担をかけ、栄養障害も引き起こしたり、 噛み合わせも悪くなります。

自然には治らない虫歯

「少し痛いけれど、ただの虫歯さ」などと放っておいて治療を一日のばしにしている間に、虫歯は確実に進行しています。 歯は人間の体の中で一番かたい臓器といわれていますが、すり傷がいつのまにか治ったり、骨折しても骨がくっついて、元の状態に戻るような自然治癒力は、歯にはありません。 放っておけば、悪化するだけです。

早期治療が一番

初期の虫歯は、悪いところを削って、詰め物をするだけの簡単な治療でなおり、時間も費用も少なくてすみます。 虫歯がひどくなると深く削ったり、抜歯が必要になったりします。 さらに処置後には金属冠をかぶせたり、人口歯を固定するブリッジをつけなければなりません。こうなると、多少の痛みとある程度の時間、そして費用もかかります。

虫歯を見つけるには?

虫歯は初期の段階ではほとんど自覚症状がないので、つい発見が遅くなります。デンタルミラーを使って歯の色を見ることも虫歯の発見に役立ちます。 が、狭い口の中は見にくく、見逃すこともあります。年に一度か二度、歯や歯ぐきの状態をチェックしてもらいましょう。 早期発見と早期治療が基本です。

むし歯の進行

むし歯の進行

Cはカリエス(虫歯)のこと

虫歯はその進行状態により4つに分類されます。
歯科検診などで、C1、C2という言葉を耳にしたことがあると思いますが、それが虫歯の進行状況をあらわす表現で、Cはカリエス(虫歯)のこと、数字は進行状態なのです。どんなふうに進行していくのでしょうか。

C1

歯のエナメル質、あるいはわずかに象牙質の一部が侵された状態。 痛みはほとんどありません。この段階で治したいものです。

C2

象牙質の大部分が侵され、穴があいてしまいます。
冷たい物や風がしみて痛むことがあります。
小さな穴に見えても、広い範囲を削らなければならないこともあります。

C3

象牙質は完全に侵され、歯の神経の歯髄まで達しています。
ズキズキした強い痛みがあり、炎症を起こすと治りにくく、腐りやすいので、抜かざるをえない場合が多くなります。

C4

歯はほとんど根だけになった状態。
神経は腐敗し、根の端に膿袋ができて、抜歯となる場合があり、治療も大変になります。

よい歯

よい歯で、よく噛み、よいからだ

よい歯で、よく噛み、よいからだ

あなたは食事の時、ひと口何回噛んでいますか?

現代では噛まなくていいような軟らかい食品が多くなり、「よく噛んで食べること」が忘れられがちです。
古代の女王卑弥呼は1回の食事で3,900回、源頼朝は2,600回、現代人は卑弥呼の1/6の約600回。 いかに私たちが軟らかい食べ物ばかりを食べているかがわかりますね。
また、欧米人に比べても日本人の噛む力は平均でも20kgも劣っているという報告もあります。 よく噛まないと食べ物の消化吸収が充分にされませんし、軟らかい食べ物ばかり食べているとアゴと歯が軟弱になり、また、むし歯や歯周病になりやすいということも見逃せない事実なのです。

そこで、健康な歯と体をつくり、それを維持するために欠かせない「噛むこと」の効用を考えてみましょう。

「よく噛んで」防ぐガンとボケ

ひと口30回。よく噛むと唾液がたくさん出て消化を助けます。噛むことは栄養をとることだけではなく、頭の働きや精神活動にとってもプラスになり、ひいてはボケを防ぐことにつながります。
又、噛むときに分泌される唾液に含まれる酵素ペルオキシダーゼには、発ガン性物質の毒性を抑える働きがあり、ガンを予防することにもなるのです。

お口をキレイにする唾液の働き

よく噛むと、食べ物に含まれる繊維や、頬及び唇の筋肉の働きによって歯の表面についた細菌や、むし歯の発生に大きな原因となる砂糖が落とされたり、また、分泌される唾液で砂糖分が薄くなり、むし歯になりにくくなります。

よい咀嚼習慣とは?ご飯なら、ひと口20~30回かみましょう!!
リズミカルに、そして、左右平均に噛むようにしましょう!!

よい歯で、よく噛み、よいからだ2

よい歯で、よく噛み、よいからだ

噛むことの効用

食べ物をよく噛むということは「ボケ」や「ガン」を予防すると、<その1>で説明しました。楽しく食べるということは、ゆっくり噛んで味わう ことです。そして、それが知らず知らずのうち、成人病の予防になるとは、なんと素晴らしいことでしょうか。この他にも噛むことの効用はたくさんあります。
そこで噛むことの効用について、もう少し考えてみましょう。

よく噛んで、美しい歯並びに

よく噛むことにより、アゴや歯の正常な発育が促されます。とりわけ、小さいときによく噛まないとアゴの骨が充分に発達しないため、大人の歯がキチンとはえるスペースがなくなり、歯並びが悪くなります。
歯並びが悪くなると噛み合わせが悪くなって、顎関節症を引き起こします。また、磨きにくくなるため、むし歯や歯周病などになってしまいます。

よく噛んで楽々ダイエット

美容と健康の大敵、肥満。つい食べすぎてあとから後悔することも多いはず。食べすぎの原因のひとつが、早食い。早く食べると、脳が満腹と感じる前につい食べすぎてしまうのです。
ところが、ゆっくり噛んで時間をかけると、満腹中枢に命令が届き、適度の量の食事で満足感が得られるのです。よく噛むということは知らず知らずのうちにダイエットをしていることになるのです。

よく噛んで老化防止

食べ物をよく噛むと、唾液の分泌がよくなります。
その唾液の中に含まれる唾液線ホルモン(パロチン)は、体を十分発育させ、健康に保つために欠かせない物質です。
近年の研究で、糖尿病や動脈硬化、骨の老化予防に大いに力を発揮することがわかってきました。

歯周病と全身疾患

歯周病とは

歯周病とは

歯周病の症状

  • 歯ぐきから血や膿が出る
  • 歯ぐきが腫れる
  • 歯がぐらつく

歯周病とは、歯ぐきや骨といった歯を支えている「歯周組織」に炎症が生じることによって破壊される病気です。
これは、歯を支えている「歯周組織」の断面図です。

炎症が歯周組織全体に拡がっています。歯石がたくさんついていて、歯ぐきは赤く腫れ上がり、歯を支えている骨も溶けている状態です。

歯周組織に炎症が起こると、まず出血や膿が出るといった症状が見られます。
また時々膿が溜まって腫れることもあります。さらに炎症が進むと、歯周組織が破壊されて歯がぐらつくようになってしまいます。

プラークは細菌の塊

  • 口の中には300種類以上の細菌が棲んでおり、その数は500億~1兆個
  • 細菌はお互い同士が集まって塊を作る
  • このプラークの中の細菌が歯周組織に炎症を起こさせる
プラークは細菌の塊

プラークは細菌がお互い同士くっついて塊のようになったものです。
右の写真は、歯の表面にくっついたプラークの断面を顕微鏡で見たもので左側が歯の表面です。
青い細かなつぶつぶが細菌です。左側の歯の表面から細菌が積み重なるようにくっついていき、塊となってプラークができていきます。
口の中には300種類以上の細菌が棲んでいて、その数はお口の手入れのいい人で500億、普通の人で2000億、手入れの悪い人では1兆もの菌が存在します。
細菌はお互い同士が集まって塊を作る性質があります。こうしてできた細菌の塊がプラークです。
プラークの中の細菌の一部は、毒素や酵素など体に対して有害な物質を出します。
これらの有害物質が歯周組織に炎症を起こさせるのです。

歯周病が全身に及ぼす影響

歯周病が全身に及ぼす影響

歯周病はこんな病気に関わっています。

  • 動脈硬化などの血管系の病気
  • 心臓の病気
  • 肺炎などの呼吸器疾患
  • 早期低体重児出産
  • 糖尿病 など

これまで、歯周病は口の中だけで問題を起こす病気と考えられてきました。
しかし最近、歯周病は口の中だけではなく、全身に影響を及ぼすことがわかってきました。
歯周病に罹ると歯の周囲の細菌の数が増えます。増殖した細菌は炎症を引き起こす物質を生み出します。
そして、これらの物質や一部の細菌は、血管の中に入り込んで全身の各器官に拡がります。
最近、これらの物質や全身の器官に達した一部の細菌が、全身の病気に関わっているのがわかってきました。
現在、可能性があると考えられている全身の病気には、動脈硬化などの血管系の病気、心臓病、肺炎などの呼吸器疾患、早期低体重児出産、そして糖尿病が挙げられています。

歯周病菌が血液中に入る

  • 歯周病で炎症を起こした歯肉には多数の細菌が接している
  • 歯周病菌が炎症を起こした歯肉の中に入り込む
  • 細菌や細菌の成分が血液中に流れ込み、血管を通って全身に運ばれ,何らかの病気を引き起こす

歯周病菌が血液中に入る

歯周病で炎症を起こした歯肉には、多数の細菌が接しています。
歯周ポケットが5・6mmの中等度の歯周炎の場合、この炎症を起こした歯ぐきと細菌が接している面積を全部あわせると、約72平方センチで手のひら程度の大きさになると言われているのです。
歯肉が炎症を起こすと、歯周ポケットの内面が潰瘍の状態になるので、歯周病菌が歯肉中に入りこみます。
歯肉中に侵入した細菌や細菌が産生した有害物質が血液中に流れ込むのです。
これらの細菌や細菌由来の物質が血管を通って全身に運ばれ、何らかの病気を引き起こすことが、最近の研究で明らかになりました。

歯周病と血管系の病気

  • 血液中に入り込んだ歯周病原菌が血管壁に感染すると、防御反応により作られたメディエーターが動脈壁の硬化を引き起こすという仮説がある
  • 歯周病原菌の作用で血小板が凝集して塊となり、はがれて血栓となって心臓の冠状動脈などにつまることも考えられる
歯周病と血管系の病気

歯周病が血管系の病気を引き起こす可能性があるということがいわれています。
例えば、血液中に入り込んだ歯周病原菌が血管壁に感染すると、防御反応によってメディエーターが作られます。
これが動脈硬化を引き起こすという仮説があります。また、血液中に入り込んだ歯周病原菌の刺激で血小板が凝集します。
これがはがれて血栓となり、心臓の冠状動脈などに詰まって狭心症や心筋梗塞などを引き起こすこともあると考えられています。

歯周病と心内膜炎

  • 心臓の弁に障害がある人、人工弁を入れている人などでは、弁の周りの血液の流れがスムーズではなく滞っている
  • このような部分では,血液中に入り込んだ細菌が心内膜に定着して増殖する
  • この細菌によって、細菌性心内膜炎が引き起こされる
  • 歯周病菌が細菌性心内膜炎に関係している可能性がある
歯周病と心内膜炎

歯周病と心内膜炎という心臓の病気が関係があるということもいわれています。
心臓弁膜症など心臓の弁に障害がある人、人工弁を入れている人などでは、弁の周りの血液の流れがスムーズではなく、滞っているのです。
このような血液が停滞している部分では、血液中に入り込んだ細菌が心内膜に定着して増殖する傾向があります。
そして、定着増殖した細菌によって、細菌性心内膜炎が引き起こされます。
この細菌性心内膜炎で亡くなった方の心臓から、歯周病菌が検出されたことから、歯周病と細菌性心内膜炎が関係していると考えられています。

歯周病と誤嚥性肺炎

  • 加齢で反射が低下すると、誤嚥を起こして気管にものが入り、細菌が肺に達して肺炎を起こす(誤嚥性肺炎)
  • この誤嚥性肺炎の病巣から歯周病原菌が検出されている
  • 口の中をきれいにする口腔ケアによって、誤嚥性肺炎が予防できることもわかっている
歯周病と誤嚥性肺炎

歯周病と誤嚥性肺炎との関係も指摘されています。
人間には、ものを飲み込むとき、気管の入り口にある咽頭蓋というフタが閉じて、気管に入り込まないようにする嚥下反射という能力が備わっています。
しかし、加齢などによってこの反射が低下すると誤嚥といって、誤って気管の中にものが入り込むようになります。
こうして細菌が気管を通じて肺に達し、肺炎を起こすことがあり、誤嚥性肺炎と呼ばれています。
この誤嚥性肺炎の病巣から歯周病菌が検出されており、歯周病が誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があるといわれています。
また、歯周病以外にも口の中の細菌が増えると誤嚥性肺炎を起こす危険性が高まるともいわれ、口の中をきれいにする口腔ケアを行うと、誤嚥性肺炎が予防できることもわかっています。

歯周病と低体重児出産

  • 低体重児出産をした女性のお口の中では、歯周ポケット内に歯周病原菌が多い
  • 歯周病原菌から出た内毒素は、免疫担当細胞を刺激してプロスタグランディンやTNFαという活性物質を誘導する
  • プロスタグランディンやTNFαは早産や低体重児出産を引き起こすといわれており、歯周病が低体重出産のリスクファクターとなると考えられている
歯周病と低体重児出産

さらに、歯周病が出産にも影響を及ぼす可能性があることも言われています。
低体重児出産をした女性のお口に中の細菌を調べた研究に、歯周ポケット内に歯周病原菌が多かったという報告があります。
また、歯周病原菌は免疫担当細胞を刺激して、プロスタグランディンやTNF-αといった活性物質を誘導することがわかっています。
これらの活性物質は早産や低体重児出産を引き起こすといわれています。
以上から、歯周病は低体重児出産のリスクファクターであると考えられています。

歯周病が糖尿病に影響する

  • 最近、歯周病が糖尿病に影響を及ぼす可能性が示唆されている
  • 血液中に流れ込んだ歯周病原菌はTNFαを誘導する
  • このTNFαは、インシュリンの働きを阻害するといわれている
  • 以上から、歯周病がインシュリンの働きを阻害して、糖尿病を悪化させる可能性があると考えられている。
歯周病が糖尿病に影響する

最近、歯周病と糖尿病との関係についての研究が進み、歯周病が糖尿病に影響を及ぼす可能性があることが示唆されています。
これまで述べてきましたように、血液中に流れ込んだ歯周病原菌によって、免疫担当細胞からTNFαという活性物質が出てきます。
このTNF-αは、インシュリンの働きを阻害して、ブドウ糖が細胞内に取り込まれるのを妨げるといわれています。
以上のことから、歯周病がインシュリンの働きを阻害して糖尿病を悪化させる可能性があると考えられています。
この歯周病と糖尿病の関係の詳細については、下記に詳しく触れます。

糖尿病患者の方へ

糖尿病患者の方のお口の中の特徴

●創傷治癒の遅延と易感染性

→血糖値のコントロールとともに、プラークコントロールによって口の中の感染を防ぐことも重要。

●唾液分泌量の低下

→むし歯や歯周病になりやすので、プラークコントロールと定期検診が欠かせません。

●歯周病が進行しやすい

→歯周病の予防と治療が重要。またメインテナンスによって長期的にいい状態を維持することも必要。

糖尿病にかかった方の口に中には特徴があります。
まず、傷が治りにくく感染しやすいです。従って、血糖コントロールをしっかりと行う必要があるし、プラークコントロールを徹底することによって傷ができても悪化しないようにすることも重要。
糖尿病の方は唾液が少なく、口の中が乾燥しやすいです。唾液が少ないと、唾液による口の中の洗浄作用や菌の活動を抑える働きが鈍るので、むし歯や歯周病になりやすいです。プラークコントロールで口に中をきちんと手入れするとともに、歯科の定期検診も欠かせません。
糖尿病の方は歯周病に罹りやすく悪化しやすいです。歯周病の予防と治療が重要となってきます。また、定期的に歯科を受診していい状態を保つメインテナンスも必要になります。

糖尿病と歯周病

●歯周病の検査

まず、自分自身の歯周病の状態を見極めることが必要。歯科医院での歯周病検査で状況を把握して下さい。

●プラークコントロール

ブラッシングと専門家による定期的スケーリングによって歯周病の予防を図ることが大事。もし歯周病に罹っていたら、きちんと治療を受けて治しましょう。

●メインテナンス

糖尿病患者は歯周病に罹りやすく、悪化しやすいです。いい状態を維持するためには、定期検診を欠かさないようにしましょう。

糖尿病患者の歯周病対策

まず、歯周病の検査を受けてください。歯周病は糖尿病に似て自覚症状に乏しいです。気づかないうちに進行してしまうことがあるので、まず歯科医院で歯周病の検査をして貰って状況を把握する必要があります。
また、糖尿病の方は歯周病に罹りやすく、悪化しやすいです。ブラッシングや専門家による定期的スケーリングといったプラークコントロールによって歯周病の予防を図ることが大事。もし検査で歯周病に罹っていることがわかったら、きちんと治療を受けて治すことも必要。
糖尿病の方は歯周病が重症化しやすいので、歯周病の検査で問題がないとわかったり、歯周病の治療で歯周病が治った後も、いい状態を維持するためにメインテ ナンスという定期検診が欠かせない。メインテナンスでは、歯周病のチェック、ブラッシングの問題点の改善、専門家によるスケーリングなど口の中のクリーニ ングといったことが行われます。